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I Remember Berklee ②

Arrival(到着)

飛行機の窓から、ボストン湾に浮かぶ船の灯りが見えた。夜景がとってもキレイだ。成田を出発して15時間。やっと地上に降りることができるのかと思うと嬉しくなった。しかし気になることがひとつある。それはマリさんからもらった航空券と一緒に入っていたメモで、それには①空港に着いたらホテルに電話すること。②ホテルより無料送迎バスあり。(白地のバンタイプにブルーの文字でハーバーサイトハイアットと書いてある)とあった。どうやら空港からホテルに送迎の依頼をしなければいけないようだ。いきなり英語で電話するのってキビシイなぁ・・。きっとなに言ってるかわからないだろうなぁ・・。そう思い浜野さんに「マリさんが空港に着いたらホテルに電話しろって」と言うと、逆に「利香さんお願いしますぅ」と言われてしまったので、しぶしぶ引き受けた。昼の11時半にサンフランシスコを出発し、五時間半かかったが、時差があるので、ボストン時間で夜8時半をまわった頃にようやくローガン国際空港に到着した。初めての夜のアメリカはさぞかしこわい雰囲気なのかと思ったが、それほど悪くない。スーツケースを無事ピックアップできたところでさっそく電話を探す。「電話する時ってどのお金つかうんですか?」当然私はこんなことも知らないので、浜野さんに助けを求める。「あっ、それは25セントを使うんですよ。私持ってます。」私は紙幣しかもっていなかったので遠慮なく25セントを借り、恐る恐る番号をプッシュした。

この後、予想通りホテルのクロークとは会話が通じず、わかったふりをして電話を切り、「盛んにトゥーって言ってたよなぁ・・」と思いながら空港の外へ出ると、バスやタクシーが盛んに行きかう中、2番のバスの停留所にスーツケースを転がす人たちやいろいろなホテルの名前が書いてあるバスが何台も止まっているのを見て、ようやく「2番のバス停で待て」と言われたことを理解した。無事バスに乗りホテルに着いたが、ここでもチェックインに手間取った。フロントに「もうアンタはチェックインしたことになっている」と言われ、その部屋に電話をつないでもらいなんとか赤の他人だと証明することができ、やっと浜野さんと二人517号室にたどり着いた。ずっと気を張ってきたが、さすがに疲れを覚えた。「やれやれお茶でも飲むか」と思ってもここには大好きな緑茶のティーバッグと湯のみなどはない。スーツケースから緑茶の葉っぱを取り出して、コーヒーメーカーでお湯を沸かしてお茶を飲んだ。部屋はキレイで広くて快適だった。「いい部屋でよかったね」「きっとマリさんがここを選んでくれたんだね」私たちはそういいあったが、明日は浜野さんともお別れだ。独りでそれぞれの学校へ行かなければならない。そんなことを思いながらカーテンの隙間から外を見るとすぐ下がボストン湾である。「「ここはホントに外国なんだ」たどり着くまでいろいろなことがあった。しかし明日からはもっといろいろなことがあるに違いない。まぁ、今夜はとりあえず寝よう。「おやすみなさい」「おやすみなさい」浜野さんはすぐ眠れたのだろうか?私は、ふかふかのベッドのせいか、なかなか眠れなかった。

朝がきた。昨夜のうちに頼んでおいた朝食をルームサービスで食べた。納豆や味噌汁はない。私は本意でないが仕方なくチーズやソーセージを選んだ。浜野さんは「わぁー、ベーグルだ~私、これ好きなんです~」と喜んでいた。食事が終わると、のんびりする時間はなく、はやばやとチェックアウトした。フロントにタクシーを頼むと、10分くらいで来ると言う。浜野さんの迎えも30分後来るとのことなので、ホテルの玄関に出て待つことにした。ところがドアマンが「タクシーが来たぞ」とこちらに走って呼びに来た。10分どころか1分もたっていない。「えっ、もう来たの?」私はあたふたとスーツケースを転がした。浜野さんも後ろから走ってきた。「さぁ、どうぞ」とドアマンがタクシーを手で示したが、車はシルバーのベンツである。「これ、白タク?」もっとタクシーらしい、屋根の上に広告灯がのっかっている車がいいなぁ~。私はきっと不安そうな顔をしていただろう。そしてドアマンに聞いた。「これが本当にタクシー?」「もちろん!!」彼はきっぱりと言い放った。と同時に運転手が降りてきた。長めのブラウンのおかっぱへアに眼鏡をかけ、ちょっと神経質そうだ。私は「地球の歩き方」に書いてあった「タクシーに乗る時は法外な金額を請求されないよう、乗る前に交渉しよう」という文章を思い出し、早速聞いた。「バークリー音楽院に行くんだけど、いくら位か?」運転手は「なんでこんなこと聞くんだ」という顔をしたが、「20ドル位だ」と言った。(そのくらいならいいか~こんな車じゃ嫌だ、なんて言えないし・・・)NOと言えないニホンジンの私は、腹をくくって荷物をトランクに入れてもらい。車に乗った。(あっ、そうだ、浜野さんは・・・?)気が動転していた私は浜野さんのことを完全に忘れていた。走りだす車の窓から振りかえるときょとんとした浜野さんの顔が見えた。その顔は(あれ~、もう行っちゃうのかなぁ?)と言っているようだった。「バイバイ」お互い手を振ったが私の声は聞こえなかっただろう。浜野さんとの別れはあまりにあっけなかった。しかしこの時の浜野さんのきょとんとした顔は忘れられないだろうと思った。


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