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英語とお金と音楽と(English and Money and the Music)

奨学金がもらえるという手紙を見せると、マリさんは当然喜んだ。「よかったわねぇ~。行ってくるといいわ」私は思い切って言ってみた。「でも、お金がぜんぜんないんです。両親には頼れませんし、無理かと思います」するとマリさんは「貯めればいいのよ。奨学金は三年間の間に行けば2学期間もらえるって書いてあるでしょう?」(そうなのか~)手紙にそう書いてあるのは知らなかった。(でも、簡単に「貯めればいい」って言われてもなぁ・・・)マリさんによると、留学には学生ビザというものが必要で、その申請の際に、自分はこれだけお金があるので生活費その他を支払う財力があるのだということを証明し、他に留学できるだけの英語力があることも示さなければならないとのことだった。「300万位あれば大丈夫よ。あと英語はTOFELを受けて500点取ればいいのよ」このときTOFELについては何一つ知識がなかった私は500点を取ることが自分に可能なのかそうでないのか見当がつかなかったが、300万の方は貯められそうな、そうでないような微妙な金額であった。仮に私がいない間、母が生活するだけのお金も用意しなければいけないと思ったし、そうするとお金はもっと必要な気がして、やはり実現は不可能だと思った。しかし私が黙って考えているのに、マリさんは「TOFELはルイスに習っていけばいいわ。あと入学してからテストアウト(飛び級)して上のレベルからスタートできるようにしましょうね」と、もう入学した後のことを考えているようだった。私はこの日もはっきり断れず、帰りの電車に乗っていた。

家に帰ってまた考えた。自分は今まで自分の力では何もできないくせに、偉そうなことを言いながら暮らしてきた。ここであきらめたらやはり自分では何もできない人間なのだ。と認めるようなものではないか、と思った。家がどういう状況であれ、まず実現できるように頑張ってみようか。どうせこれからもまた貧乏暮らしが続くだろう、今後いいことなんてないだろう。ほんの少しの期間でもアメリカで生活したという思い出があれば、それを支えにまた必死で仕事をして生きていけるかもしれない。

そんな風に考えた私は、まずTOEFLについて調べた。TOEFLとは米国に留学する外国人が、授業についていけるだけの英語力を示す試験で、単語や文法はもちろん、文学や歴史、地理や生物、物理、宇宙についての幅広い分野から出題される長文読解などで構成され、500点という数字は、バークリーあたりの大学なら、なんとかついていけるだろうという目安になる点数らしかった。書店で「めざせ!TOFEL500」という問題集を買ってきて開くと、わからない長い単語、わけのわからないイディオム、そして全文最後まで読んでも結局何について書かれているのかさっぱりわからない論文のようなもののオンパレードであった。しかし私は学生の頃英語は好きで得意だったので、英語から遠ざかったそのときもそれほど嫌にならず、毎日仕事が終わって家に帰ると、すこしずつ問題を解いていった。「とにかく何回も受けるのよ」とマリさんは言っていた。まず一回受けて自分はどの程度のレベルなのか認識しようと思った。このときまだ留学のことは母にも、離れて暮らす父にも誰にも話していなかった。「どうして今頃になって英語なんか勉強してるの?」と母は不思議そうにしていた。


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